粉塵が発生・浮遊する作業場で、作業者が長い期間それを吸引してしまうと『じん肺』へと発展する可能性があります。
粉塵作業やじん肺に関する法令には、「労働安全衛規則」に加えて、「じん肺法」と「粉じん障害防止規則」などがあります。じん肺法第2条では、「じん肺とは粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」と定義されています。「線維増殖性変化」というのは、肺が異物である粉塵を吸入し続けてしまった時に生体の対処能力を超え、結果として肺に不可逆的な変化が発生した状態を意味します。
この状態がじん肺であり、発症まで10年以上の経過をたどることもある上、根本的な治療法は現在においても確立されていません。ひとたび発症すれば悪化させないことが治療の目標となります。
健康被害を発生さないようにするには、発塵現場への予防が最重要かつ根本的な対処法です。
粉塵環境下での作業は特に製造業や鉱業・建設業に多く、予防は大きく分けて下記の3点が基本となります。
1.粉塵を発生させない(=作業環境の改善)
2.粉塵の拡散を防止する(=換気対策の実施)
3.粉塵を吸入しない(=呼吸用保護具の適切な使用)
機械や設備など、粉塵の発生源にフードを取り付け、そこから空気を吸引することで、粉塵を吸引することができます。
集塵機は、フード、ダクト、除じん装置、ファン、排気口で構成されます。
作業現場の空間に「送気」と「吸気」によって空気の流れを作り出し、発生源から発生する粉塵をその気流によって補足し、一定の方向へ排出します。
空気を入れ替える全体換気
空間内の粉塵の濃度を薄めるためには、外部から新鮮な空気を取り込み、作業する建物全体を換気することが大切です。
ただし、粉塵が多量に発生する作業現場や粉塵の有害性が高い場合は郊外に排出してしまう危険があるため有効ではありません。その場合は、集塵機など、他の対策と組み合わせながら行う必要があります。