作業環境測定と粉じん:職場の安全を守るために

作業環境測定は、職場の空気中の粉じん・化学物質・騒音などを測定し、労働者の健康を守るために欠かせません。粉じんは目に見えない細かい粒子が空気中に漂い、長時間吸い込むと健康に悪影響を与える可能性があります。この記事では、粉じんを測定する方法や、作業環境を安全に保つためにどんな対策が必要なのかをわかりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.作業環境測定とは何か?
    1. 1.1.測定が義務付けられる代表的な作業環境
    2. 1.2.粉じん作業での測定方法
    3. 1.3.測定結果と管理区分
  2. 2.効果的な粉じん対策の方法
  3. 3.日常的な粉じん監視


作業環境測定とは何か?

作業環境測定は、職場に存在する粉じんや化学物質などが基準を超えていないか確認する作業です。労働安全衛生法や作業環境測定法に基づき、定期的な測定と管理が義務付けられています。定期的な測定を通して、必要な対策を講じることが重要です。


測定が義務付けられる代表的な作業環境

作業環境
有害要因
粉じん作業
粉じん
採石場、トンネル工事、研磨作業
有機溶剤作業
有機溶剤
塗装、洗浄作業
特定化学物質作業
ベンゼン・鉛など
化学プラント、電池製造
放射線作業
放射線被ばく
X線検査、原子力施設
騒音作業
騒音
建設機械、工場


粉じん作業での測定方法

粉じん作業の作業環境測定では、A測定とB測定の2種類の測定方法が用いられます。これは、労働者が吸入する可能性のある粉じんの量を適切に評価し、職場の粉じん環境が安全かどうかを判断するための重要な指標です。これらの測定は労働者の健康を守るための重要な手段です。


A測定
(作業場全体の平均濃度)
B測定
(発散源近くの最高濃度)
測定目的
作業場全体の粉じん濃度を評価
発散源近くの短時間の最高濃度を測定
測定場所
作業場の各測定点(複数)
発散源の近く(1か所)
測定頻度
定期的(6ヶ月に1回)
必要に応じて

A測定は、作業環境全体の平均濃度を測定し、B測定は発散源に近い場所の最高濃度を測定します。A測定では第1評価と第2評価が行われます。A測定のみを行うこともありますが、作業環境の安全性を確保するためには、A測定とB測定を組み合わせて総合的に評価することが重要です。


測定結果と管理区分

作業環境測定の結果は、作業環境の安全性を評価するために「管理区分」に分類されます。第1管理区分は環境良好で環境維持に努め、第2管理区分は改善が必要な可能性あり、対策の検討が必要、第3管理区分は環境が悪く、早急な対策が必要です。それぞれの管理区分はA測定とB測定の結果から下記の通り分類されます。

作業環境測定結果表

第3管理区分は、作業環境全体の改善が直ちに求められます。令和6年(2024年)4月1日から、作業環境測定の結果が第3管理区分とされた作業場に対して、作業環境管理専門家の意見聴取が義務化されています。改善の可否について、外部の専門家の意見を聞き、専門家の意見を踏まえ、適切な改善措置を講じる必要があります。また、改善措置後も定期的に作業環境測定を行い、その結果を所轄の労働基準監督署に報告することが求められています。


効果的な粉じん対策の方法

職場における粉じん対策には、以下のような方法があります。これらを組み合わせて実施することで、より効果的に粉じんを抑制できます。

  1. 発生源対策
    粉じんが発生する工程自体を見直し、発生を抑制することが最も効果的です。例えば、粉じんの飛散を抑える湿式加工の導入や、袋詰めやコンテナの改良で粉体材料の密閉輸送を徹底した材料の取り扱い方法の改善などが挙げられます。
  2. 粉じん除去装置の設置
    局所的な粉じんが発生する研磨作業や溶接作業などの場合は局所排気装置を、粉じんが作業場全体に広がる可能性がある場合は集塵機を設置します。局所排気装置は発生した粉じんをすぐに作業エリア外に排出したい場合に適しています。一方、集塵機は粉じんを回収し、空気を浄化する機能を持ち、粉じんの再利用が必要な場合にも有効です。
  3. 個人用保護具(PPE)の使用
    防塵マスクや保護メガネの着用により、労働者が直接粉じんを吸い込むリスクを軽減できます。適切なフィルター性能を持つマスクの選定が重要です。
  4. 定期的な作業環境測定と管理
    作業環境の測定結果を分析し、必要に応じて対策を見直すことが不可欠です。定期的な監視を通じて、労働環境を継続的に改善していくことが求められます。


日常的な粉じん監視

粉じんの管理は、労働者の健康を守るだけでなく、職場全体の安全性向上にもつながります。作業環境測定を適切に行い、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。企業や管理者は、最新の法規制や技術を取り入れながら、継続的な改善を進めることが求められます。安全で快適な作業環境の実現に向けて、適切な管理を徹底しましょう。


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