特化則とは?わかりやすく5分で解説

特化則とは、正式名称『特定化学物質障害予防規則』の略で、健康障害を引き起こす可能性がある特定化学物質により作業者が健康を害さないように、作業方法や設備などのルールを定めた規則のことです。これは労働安全衛生法の特別規則です。

尚、金属アーク溶接で発生する溶接ヒュームは従来粉じんとして健康被害防止対策を講じてきましたが、これに含まれるマンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガン)が神経機能障害など健康への影響が確認され、特定化学物質に追加されたことは記憶にあたらしいです。(2021年4月1日適用)


目次[非表示]

  1. 1.特定化学物質の種類
  2. 2.対応措置
  3. 3.隠れた課題
  4. 4.粉塵濃度モニタリング(常時監視)のススメ
  5. 5.粉塵濃度のモニタリング方法


特定化学物質の種類

特定化学物質は第一類と第二類、第三類に分類されます。

  • 第一類物質:がん等の慢性・遅発性障害を引き起こす物質で、特に有害性が高いもの。
  • 第二類物質:がん等の慢性・遅発性障害を引き起こす物質で、第1類物質に該当しないもの。
  • 第三類物質:大量漏洩により急性中毒を引き起こす物質。


第一類
塩素化ビフェニル(PCB)

●特別管理物質(※)
α-ナフチルアミン及びその塩、オルト-トリジン及びその塩、ジアニシジン及びその塩、ジクロルベンジジン及びその塩、ベリリウム及びその化合物、ベンゾトリクロリド
第二類
アクリルアミド、アクリロニトリル、アルキル水銀化合物、塩素、オルトフタロジニトリル、カドミウム及びその化合物、五酸化バナジウム、シアン化カリウム、シアン化水素、シアン化ナトリウム、臭化メチル、水銀及びその無機化合物、トリレンジイソシアネート、ニトログリコール、パラ-ニトロクロルベンゼン、弗化水素、ペンタクロルフェノール及びそのナトリウム塩、マンガン及びその化合物、沃化メチル、溶接ヒューム、硫化水素、硫酸ジメチル

●特別管理物質(※)
インジウム化合物、エチルベンゼン、エチレンイミン、エチレンオキシド、塩化ビニル、オーラミン、クロム酸及びその塩、クロロホルム、クロロメチルメチルエーテル、コバルト及びその無機化合物、コールタール、酸化プロピレン、三酸化ニアンチモン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、1,1-ジメチルヒドラジン、1,2-ジクロロプロパン、重クロム酸及びその塩、スチレン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ナフタレン、ニッケル化合物(粉状)、ニッケルカルボニル、パラ-ジメチルアミノアゾベンゼン、砒素及びその化合物、ベータ-プロピオラクトン、ベンゼン、ホルムアルデヒド、マゼンタ、メチルイソブチルケトン、リフラクトリーセラミックファイバー
第三類
アンモニア、一酸化炭素、塩化水素、硝酸、二酸化硫黄、フェノール、ホスゲン、硫酸

※特別管理物質とは第1類物質と第2類物質のうち、がん原性物質またはその疑いのある物質については特別管理物質としており、名称、注意事項などの掲示(特化則38条の3)や、空気中濃度の測定結果と労働者の作業や健康診断の記録を30年間保存すること(特化則38条の4、40条)、事業廃止の際にはこれらの書類を所轄労働基準監督署長に提出すること(特化則53条)が求められている。(ウィキペディアより)

第一類・第二類には発がん性の高い物質が多く含まれていることがわかります。もし、人がこの様な物質を体内に取り込んでしまうと、がん、皮膚炎、神経障害などを発症し健康を害するおそれがあります。


対応措置

この特定化学物質により作業者が健康を害さないように、特化則では主に次のような措置を講じるよう定めています。

  1. 換気装置の設置(全体換気装置や局所排気装置、プッシュプル型換気装置の設置が必要)
  2. 作業者は全面形マスクの着用
  3. 特定化学物質作業主任者の選任
  4. 作業環境測定の実施(6ヶ月に1度)
  5. 作業者の特殊健康診断の実施(6ヶ月に1度)

※尚、特定化学物質の分類や屋内外、密閉度合いなどにより実施すべき内容は変わります。

これを受け対象企業は規則に則った対策を取ることで、作業者の労働環境を守っていくことができます。それは企業活動の継続にも関わってくることになります。


以上が概要です。今回、参考にさせていただいたサイトは「e-Gov検索」です。更に詳しく確認したい場合はこちらのサイトも参考にしてください。


隠れた課題

さて、ここで気になるのが6ヶ月に1度実施する作業環境測定です。

そこには課題が見えます。それは環境測定できていいない期間があるということです。つまり、もし、作業環境測定していない期間に設備などの異常や劣化で特定化学物質が発生してしまうと、見逃してしまう危険性があります。それではこれまで講じてきた措置が意味をなしません。


粉塵濃度モニタリング(常時監視)のススメ

そこで作業環境測定と併用しておすすめするのが「粉塵濃度のモニタリング」です。

粉塵濃度のモニタリングは特定化学物質を判別するものではありませんが、微量な粉塵濃度を常時測定することができます。作業環境を測定している時としていない時の粉塵濃度の変化を監視することで、突然の粉塵漏れをいち早く察知することができるので、事態がひどくなる前に対応が可能になります。

また、漏れた粉塵が特定化学物質ではなくても、粉塵による労働環境への悪影響を事前に察知できることに変わりはありません。せっかくの措置を無駄にしないためにも、ぜひ取り組まれることをおすすめします。


粉塵濃度のモニタリング方法

粉塵濃度のモニタリング方法をまとめました。ダウンロードしてご利用ください。




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