エアロゾルとは?基礎から学ぶ感染・環境・健康への影響
エアロゾルとは? エアロゾルの定義
エアロゾルとは、空気中に微細な固体または液体の粒子が浮遊している状態を指します。
粒子の大きさによって呼び名が異なり、10μmを境に、小さい粒径のエアロゾルを浮遊粒子状物質(SPM)、大きい粒径を含んだエアロゾルを浮遊粉じん(SP)とも呼びます。
海外の基準ではPM10(粒径10μm以下の粒子)、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子)などの呼び方もあり特にPM2.5は多く耳にすることがあると思います。

エアロゾルと健康・環境への影響
石炭、石油、天然ガスなど燃焼に由来するエアロゾルは粒径が非常に小さく、肺の奥深くまで入り込むため、健康への悪影響が懸念されます。
また、酸性雨の原因となる非海塩由来の硫酸イオンなども、微小粒子として多く存在します。
エアロゾルは近隣の発生源だけでなく、大気中を長距離輸送されることもあります。そのため、効果的な対策や将来の予測のためには、発生源の特定と把握が重要です。
工場などによるエアロゾルの発生

エアロゾルの発生原因には、以下のようなものがあります。
化石燃料の燃焼に伴うばいじんや凝縮性ダスト
バイオマス燃焼(例:森林火災)
火山活動・土壌・海塩などの自然起源
気体成分から変化した二次粒子
測定対象となる主な成分は、水溶性イオン(硫酸イオン,硝酸イオンなど),金属成分、炭素成分、有機成分などです。
くしゃみや咳による飛沫とエアロゾル感染

2019年以降に流行した新型コロナウイルス感染症では、感染経路の一つとしてエアロゾル感染が注目されました。感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話などによって放出されるウイルスを含む飛沫(エアロゾル)が空気中に漂い、それを吸入することで感染する可能性があるとされています。また、これらのエアロゾルが目・鼻・口の粘膜に直接付着することでも感染が起こると考えられています。
エアロゾルの及ぼす影響
エアロゾルが地球環境と人体の双方にさまざまな影響を及ぼします。ここでは、そのメリットとデメリットについて説明します。
メリット:地球温暖化の抑止力効果(地球冷却効果)

エアロゾルの粒径は数ナノメートル(nm)から数ミリメートル(mm)に及び、硫酸塩・有機物・硝酸塩・海塩などの透明~白色粒子から、黒色炭素(すす)のような濃色粒子まで多様に存在します。エアロゾルが地球温暖化に影響を及ぼすプロセスは、次の2つに分けられます。
- 放射の散乱・吸収効果エアロゾルが太陽放射や地球放射を散乱・吸収することで、大気中の放射収支が変化します。散乱・吸収の度合いは、粒子の色(明るさ)や形状によって異なります。例えば、白っぽい粒子(硫酸塩など)は光を反射して冷却効果をもたらし、黒色炭素のような粒子は光を吸収して加熱効果を生じます。
- 雲の形成への影響(雲凝結核・氷晶核効果)エアロゾルは雲の凝結核(水雲)や氷晶核(氷雲)として働きます。凝結核が増えると雲粒の数が増加し、水蒸気が分散して1つ1つの粒が小さくなります。その結果、雲が濃くなって太陽光を反射(散乱)しやすくなり、地球の冷却効果を強めます。また、小さい雲粒は衝突・併合して雨滴になりにくいため、降水が減って雲の長寿が延び、これも冷却効果に寄与します。
デメリット
①大気汚染
光化学スモッグ

粒径が小さいエアロゾルは大気中を長く漂い、他の化学物質と反応して新たな汚染物質を生成したり、視界を悪化させたりします。こうした現象は、光化学スモッグや酸性雨などの大気汚染の主要な要因の一つとなっています。
「広域の光化学大気汚染(光化学スモッグ)もエアロゾルと関係している。光化学スモッグは視程の悪化を招くばかりでなく、雲核の形成、大気のエネルギー収支などと関連して、気象・気候に大きな影響を及ぼしている。また、酸性雨や酸性エアロゾルの降下によってもたらされる農作物、樹木、湖沼、土壌への影響も顕在化してきている。ガス状汚染物質の寿命はせいぜい一日程度であるのに対して、エアロゾルは数日から数週間大気中に滞留する。 このため、列島規模にわたる湿性大気汚染、酸性雨、さらには越境大気汚染、地球規模汚染の原因物質として、エアロゾルはますます重要になりつつある。」
【 引用元:エアロゾルの長距離輸送 】
このように、エアロゾルは単なる「浮遊粒子」ではなく、地球規模の環境問題の一因でもあります。
②健康被害
エアロゾル粒子(浮遊粉じん)は、呼吸器を通じて体内に侵入し、さまざまな健康障害を引き起こします。
代表的な影響には以下が挙げられます。
刺激性・炎症性障害
呼吸器感染症
じん肺
アレルギー性鼻炎・気道炎
粉じん吸入による中毒
発がん性リスク
放射性エアロゾルによる肺への放射線被曝
これらは、現代社会の生活衛生や公衆衛生に深く関わる重大な問題です。
【参考:KANOMAX/エアロゾルが人体に及ぼす影響について】
飛沫・飛沫核・エアロゾルの違い
咳やくしゃみにより放出される飛沫は、直径5μm以上の比較的大きな粒子で、水分を多く含み重いため、通常は1~2m程度しか飛びません。ただし、くしゃみの勢いによっては10m以上飛ぶこともありますが、吸い込める距離はやはり1~2m程度とされています。一方、飛沫から水分が蒸発してできる飛沫核は直径5μm以下と小さく、乾燥して軽いため、空気の流れに乗って広範囲に拡散します。また、咳・くしゃみ・会話などで発生する2~3μm以下の微小粒子は、空中で数時間漂うと言われています。これはマイクロ飛沫、エアロゾル、バイオエアロゾルとも呼ばれます。
エアロゾル感染に対する対策は?

エアロゾル感染においては「飛沫感染」と「飛沫核(空気)感染」を包含しているものなので、「飛沫感染対策」と「空気感染対策」が重要になります。対策の方法は新型コロナウイルス感染対策と同じです。
・定期的な換気 / ・手指の消毒 / ・マスク着量
・手洗い実施 / ・検温の実施 / ・備品の消毒
・飛沫対策 / ・人数制限 / ・人との距離をあける
換気の効果を確認
人と人の距離が離れていても、空気内にウイルスを含んだエアロゾルが残留していると感染の可能性が高くなります。空気中のエアロゾルの量を減らす対策こそが、感染抑制になると注目されています。その対策で重要視されているのが「換気」です。
もともと風邪の原因であるウイルスや細菌からの感染防止には「換気」は必須でした。
しかし、「換気」にどれほどの効果があるのか、いつまで換気していたら良いのか判断するには戸惑いもあるのではないでしょうか。

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