レベル計とは?種類・使い方・機種の選び方をわかりやすく解説
レベル計とは、タンクやサイロなどの貯蔵レベルや、河川の水位、潮位(海面の高さ)などを計測するためのセンサです。
レベル計には数多くの種類が存在します。方式が異なるだけでなく、メーカーごとに特長もあります。物性、測定環境、設置条件、外乱などの主要な条件を考慮して選定してく必要があります。ここでは各方式の原理や特長、そして短所についてご紹介いたします。
目次[非表示]
- 1.産業界における『レベル計』・『レベルスイッチ』の役割
- 2.『レベル計』 と 『レベルスイッチ』 の違いとは?
- 3.レベル計とレベルスイッチの使い分け
- 4.レベル計の種類
- 4.1.1.サウンジングレベル計(重錘式レベル計)
- 4.2.2.超音波レベル計
- 4.3.3.マイクロ波レベル計(パルスレーダー方式)
- 4.4.4.ミリ波レベル計(FMCW方式)
- 4.5.5.ガイドロープ式レベル計
- 4.6.6.レーザー式レベル計(レーザー距離計)
- 4.7.7.フロート式レベル計
- 4.8.8.ディスプレーサ
- 4.9.9.静電容量式レベル計
- 4.10.10. 圧力式レベル計
- 4.11.11.差圧式レベル計
- 5.レベル計 比較表および機種選定ガイド
産業界における『レベル計』・『レベルスイッチ』の役割
素材産業など大量生産する工場では原料や製品などを貯蔵するサイロやタンクの貯蔵量を把握するためレベル計が利用されます。
工場では生産が途切れないよう次の工程に原料を継続して送る必要があります。そのためサイロ内の貯蔵量が不足する前に原料を補充して継続して生産を続けられるようにしなければなりません。これらの設備をいちいち人がレベル監視していたのでは非常に効率が悪いため、レベル計を使って貯蔵レベルの監視や自動化(制御)を行っています。
『レベル計』 と 『レベルスイッチ』 の違いとは?
レベル計測用のセンサは大きく2種類になります。『レベル計』と『レベルスイッチ』です。
レベル計とは? |
レベルスイッチとは? |
容器の貯蔵量を連続的に測定し○○%、レベル●●mなどと表示され、概算の貯蔵レベルとして利用されます。 |
容器の満タンや空の位置にセンサを設置することで満タンや空になったことを検出するスイッチです。原料などの投入や払い出しを開始したり停止する信号として利用されます。検出するとONまたはOFFの接点信号を出力します。 |
レベル計とレベルスイッチの使い分け
小さな容器ではレベルスイッチだけで制御を行う場面も多くありますが、中型や大型の容器になるとレベルスイッチを上中下と数多く付ける代わりに、レベル計で連続的に計測して概算貯蔵レベルをリアルタイムに表示させて利用することが多いです。
また、レベルスイッチで制御を行いながら、中間の貯蔵量確認にレベル計を併用するケースもあります。
これはあるセンサに不具合あった場合でもそれに気づきやすいというメリットもあります。早期に発見できるので生産工程への影響を軽減したり、設備への負担を未然防止することに繋がります。
【用途や環境に応じたレベル計・レベルスイッチ】
レベル計、レベルスイッチには測定物や測定環境に応じて多くの種類が存在します。
利用される測定物や環境を確認して、マッチングするものをお選びください。
また、すべてがマッチングするとは限りません。その様な場合も、特殊仕様で対応するケースも多々ありますので、その際はメーカーへお問い合わせください。
機種選定に役立つ情報を下記にまとめておりますので参考にしてください。
レベル計の種類
レベル計には様々な機種が存在します。それぞれの特徴は理解したつもりでも、いざ機種選定しようとしたらどれを選んでいいのか迷った経験はないでしょうか? |
レベル計は方式が異なるだけでなく、メーカーごとに特長もあります。
物性、測定環境、設置条件、外乱などの主要な条件を考慮して選定してく必要があります。
原料や製品は塊体・粒体・粉体・液体・スラリー・液中堆積物など様々な状態があり、物性・環境要因など考慮されいくつもの測定方式が存在します。
また、レベル計にはタンク天井から測定物までの空尺距離を測定する方法と、測定物の貯蔵レベルを直接計測する方法の2つに大別されます。空尺距離を測定するレベル計がサウンジング、超音波、マイクロ波、レーザー距離計、ガイドロープ式、液面計、ディスプレーサです。貯蔵レベルを直接計測するのが静電容量式、圧力式、差圧計になります。
ここでは粉粒体・塊体の測定を中心に各方式の原理や特長、そして短所についてご紹介します。
※ 液体用レベル計(水位計)については >>『水位計の種類・原理・特長』 をご覧ください。
1.サウンジングレベル計(重錘式レベル計)
原理
ワイヤロープに吊るしたウエイトを測定物に着床するまで電動で巻き下げることで測定します。測定開始からウエイト着床までの時間を計測して空尺距離に換算しています。(距離=速さ×時間)
特長
・物理的に計測するので分かりやすいです。
・粉塵・蒸気が大量に発生しても計測に影響しません。
・液中堆積物の検出にも利用できます。
短所
・ワイヤロープなどの消耗品が発生するためメンテナンス性では劣ります。
・測定物に接触するため異物混入禁止エリアでの利用には慎重を期します。
マツシマメジャテックでは次のラインナップをご用意しております。
サウンジングV
サウンジングM's
2.超音波レベル計
原理
非接触式レベル計です。センサから超音波パルスが発信され測定物から反射しセンサに戻るまでの時間を計測して空尺距離に換算しています。
特長
・比較的安価に非接触のレベル計測が可能です。
・指向性があるので狭い場所での計測に向いています。
短所
・粉塵・蒸気の発生する環境下での計測には限界があります。
・測定エリア内で温度ギャップやガスなどの発生があると音速が変化し誤差が大きくなる可能性があります。
3.マイクロ波レベル計(パルスレーダー方式)
原理
電波式レベル計はマイクロ波レベル計とも呼ばれる非接触式レベル計です。センサからマイクロ波パルスが発信され測定物から反射しセンサに戻るまでの時間を計測して空尺距離に換算しています。
特長
・電波を利用しているため温度やガスの影響を受けません。
・電波は透過性があるため粉塵や蒸気の影響を受けにくいです。
短所
・比誘電率の低い測定物は反射波が弱く透過して計測できない場合があります。
例:シリカ
レーダー式マイクロ波レベル計
4.ミリ波レベル計(FMCW方式)
原理
非接触式レベル計です。センサから周波数変調されたマイクロ波が連続的に発信されます。測定物から反射したマイクロ波がセンサに戻ったときの位相差を空尺距離に換算しています。
特長
・電波を利用しているため温度やガスの影響を受けません。
・透過性があるため粉塵や蒸気の影響を受けにくいです。
・指向性があり狭い場所での計測に向いています。
短所
・比誘電率の低い測定物は反射波が弱く透過して計測できない場合があります。
例:シリカ
レーダー式ミリ波レベル計
5.ガイドロープ式レベル計
原理
タンク天井からタンク内へ垂らしたローブに沿ってマイクロ波パルスが発信され測定物から反射したマイクロ波がセンサに戻るまでの時間を測定し空尺距離に換算しています。
特長
・超音波や非接触式のマイクロ波のように放射角がなく狭い箇所への設置に向いています。
短所
・プローブ部への付着が酷いと、誤計測する可能性があります。
・ワイヤーのキンクや素線切れ、付着が発生するとノイズの反射が発生し誤計測しやすくなります。
6.レーザー式レベル計(レーザー距離計)
原理
非接触式レベル計で、2つの方式があります。
[TOF方式]センサからレーザーパルスが発信され測定物から反射しセンサに戻るまでの時間を計測して空尺距離に換算しています。
[位相差検出方式]センサから振幅変調されたレーザーが発信されます。測定物から反射しセンサに戻るまでの位相差を空尺距離に換算しています。
特長
・指向性があり狭い場所での計測が可能で、数百m計測できるものもあります。
・TOF方式は比較的安全性の高いレーザー(クラス1)が利用され、高速な応答性があります。
・位相差検出方式は精度が高く分解能も高いです。
短所
・粉塵や蒸気などの発生する環境ではレーザーが拡散して測定できません。
・指向性があるため、測定物が鏡面のように平らで安息角があると反射波が弱くなり測定できない傾向にあります。
※ 尚、位相差検出方式はレーザーのクラスが高い傾向に有り安全管理が必要な場合が多いです。
7.フロート式レベル計
原理
ステンレステープに吊るしたフロートを液面に浮かべ、液位のレベル変動に追従させています。テープの長さを常に計測することで空尺距離を計測しています。
フロートスプリングバランス式、シールパイプ式、カウンターウエイト式があります。
特長
・構造が簡単で、精度、耐久性の面から大小タンクの液面検出に広く使用されます。
短所
・付着の影響を受けやすいです。
・消防品も多くメンテナンス性に欠けます。
・フロートへの固形物の堆積によって誤差が発生する可能性があります。
・防波管内で利用する場合、付着の影響でフロートの動きが悪くなり誤作動の可能性があります。
8.ディスプレーサ
原理
ディスプレーサとは測定物(液体)の比重より重く作られ測定物に沈むように設計された浮子です。
液中に吊り下げたディスプレーサは液面レベルの変化に比例して浮力が変化します。その変化を機械的に捉えてレベルに換算しています。
特長
・低比重、高圧環境での液面計測に有効です。
短所
・測定範囲は300mm,3000mmと短いです。
・固着やゴミなどに引っかかると誤動作します。
・スプリングは消耗品です。
・測定物の液密度が変化する環境では再校正が必要です。
9.静電容量式レベル計
原理
タンク天井からタンク内へ垂らしたプローブ電極とタンク壁でコンデンサを形成しています。
電極間に測定物が入るとその量に比例して静電容量が変化。これを計測し貯蔵レベルに変換しています。
特長
・狭い場所での計測に向いています。
短所
・接触式のため異物混入の可能性があります。
・タンクを空にしてゼロ調整が必要です。
・比誘電率が変化する測定物は誤差が生じます。
10. 圧力式レベル計
原理
液位による液圧の変化をダイヤフラムが捉え貯蔵レベルに換算します。
ただし、タンク内圧力が大気圧という条件での利用となります。
特長
・設置スペースが狭い場所にも取り付けやすい。
短所
・液中に気泡が多いと圧力にムラができて精度が悪くなります。
・付着や、固形物の沈降など多いと精度が悪くなります。
・気泡が多く発生すると液圧がまばらとなるため計測値が狂います。
・液体の比重により液圧が変わるため合わせ込みが必要です。
・メンテナンスする場合はタンクを空にする必要があります。
11.差圧式レベル計
原理
液圧を計測するダイヤフラムの他にタンク内圧を計測するダイヤフラムの2つで構成されます。
液圧からタンク内圧を差し引くことで貯蔵レベルを算出します。
特長
・タンク内の圧力変化の影響を受けず測定できます。
短所
・液中に気泡が多いと圧力にムラができて精度が悪くなります。
・付着や、固形物の沈降など多いと精度が悪くなります。
・気泡が多く発生すると液圧がまばらとなるため計測値が狂います。
・液体の比重により液圧が変わるため合わせ込みが必要です。
・メンテナンスする場合はタンクを空にする必要があります。
レベル計 比較表および機種選定ガイド
ここまでレベル計に関する種類と特長・短所について掲載してきましたが、全部を理解して機種選定していくには経験も必要です。そこで少ない経験でも機種選定できるように機種選定表を作成しました。
各種条件に対しその機種がマッチするかを○、△、✕でわかりやすく表示しています。
下記よりダウンロードしてください。今後の機種選定の際の参考にしていただけると幸いです。
また、レベルスイッチについても種類や特長をまとめ、機種選定ガイドを作成していますので、こちらのページも是非参考にしてください。